身内なので、紹介しづらいものもありますが、できるだけ客観的に。
パフォーマンスとアレクサンダーを直接結びつけたいという今回の企画、パフォーマンスに関しては現場の方にそのままお渡ししアレクサンダーは自分で試してもらう、という形式ですが、その例外はこの講座。ヴァイオリニストの細井瑛子氏が音楽作りの部分を担当し、アレクサンダー教師の細井史江がその音楽作りの現場でよりよいパフォーマンスをするためのアレクサンダーをハンズオンを含むワークをする、というコラボです。
細井瑛子氏は10歳から渡英し、イギリス政府奨学金を得て王立音楽院のモーリス・ハッソン氏に学びました。その当時からアレクサンダーに親しみ、私の師のミーシャ・マギドフをはじめ数多くの先生方からレッスンを受ける環境でした。そういえば、ジュリアード音楽院での師、ジュリアードカルテットのローランド・コープス先生の前の奥方はアレクサンダーの先生だったそうで、なぜか彼女はアレクサンダーに縁が深い。小さい頃、ミーシャの学校に遊びに行ってすっかり気に入り、「私は明日からここの学校に来てアレクサンダーの先生になる」と言ったほど。ミーシャには「ぜひ入学しなさい。Aレベル(大学入学資格試験)が終わってから」といなされましたが。
現在はニューヨークを中心に演奏活動とともに、教育にもかなり力を注ぎ、Nasin Cultural Artsでヴァイオリンと室内楽のファカルティを務めています。小さいお子さんから大人まで、多彩な生徒さんを教えていますが、中でも、ニューヨーク州の支援を受けて毎夏行っているオーケストラプログラムと子供のための教育プログラム。必ずしも恵まれた環境の方ばかりではなく、問題をかかえたお子さんや、容易に非行に関係するような地域の方もあり、初めて生のクラッシック音楽を聴いたかたもいらっしゃいます。音楽を通じて「喜び」を感じて欲しい、というのが目的。学校では宿題をしたことがないばかりか、授業中もろくに聞いていたことのないお子さんたちが、なぜかヴァイオリンの練習だけはきちんとするようになったと、親御さんや学校の先生たちから驚かれるほど、子供達から絶大な人気を集めています。ご自身が幼い頃、あまりに生命力にあふれ、やんちゃぶりを発揮して先生方の手を焼かせた過去がなせるものでしょうか。