ゆかりさん (教育 女性) 個人レッスン

2020.05.27
 

アレクサンダーテクニークのレッスンを受けようと思ったのは、自分の声に磨きをかけたかったからだ。私は音楽の専門家ではないが、思い通りに歌えるようになりたい、というのが私の積年の望みだ。声楽のレッスンを受けたことはあるが、それで思うようには歌えるようにはならなかった。「体を楽器として調整すること」、それが最優先の課題だと頭ではわかっていても、「どうしたら調整できるようになれるのか」を教えてくれる人はいなかった。だから、アレクサンダーテクニークのことを知ったとき、自分に必要なのはこれだ、とすぐにわかった。
細井先生のところに通うことを決めたのは、最初のレッスンの帰りに、自分の声が変ってたことがすぐにわかったからだ。その後、「立ったり、座ったり、寝転んだり」のレッスンを繰り返すうちに、徐々に自分の体つきや動作、そして声が変わっていっているのを実感している。
レッスンに通っていて、自分なりに理解したことは、アレクサンダーテクニークは自動車の教習のようなものだということ。自分で自分の体の不調を整える術を身に付けさせてくれる。それに対し、整体やマッサージなどはタクシーやバス、だろうか。一時的に不調を解決してくれるが、自分の体を調整する術は学べない。
「立つ、座る」という動作が、単に「立つため、座るため」にやっていることではないことに気付くには、それなりに時間がかかった。ある段階から、レッスン中の動作に「心の葛藤」のようなものが伴うのだが、そこで足踏みしたり、引き下がってみたり、勇気をもって一歩進んでみたり、という繰り返しを経て、少しずつ変化していくようだ。
「心の葛藤」とは、これまで慣れ親しんできた体の使い方というのは、不自由で苦痛に満ちていたとしても、愛着を感じているので、それを手放すことに対して感じるもののようだ。しかし、一旦手放してしまうと「なんで今まであんな無駄な力を使って自分で自分を疲れさせていたのか」と思えるようになる。そして、もっと「燃費のいい自分の走らせかた」ができるようになる。
レッスン中の細井先生の視線はまるでX線のようで、わずかなゆがみも緊張も全てお見通しだ。そんなフィジカル面での指導の的確さに加え、お話やインストラクションが理路整然としているところがすばらしい。私は理屈っぽい上に疑り深い性質なのだが、そんな私から見ても、先生のお話にはいつも矛盾がない。
細井先生には、日本でのアレクサンダーテクニークの知名度を高め、より多くの指導者を養成することによって、一人でも多くの方がアレクサンダーテクニークの恩恵に授かれるよう、ますますご活躍していただきたいと思う。