「表現とアレクサンダー」の講師の先生ご紹介第2弾!
能役者の金井雄資さんです。
金井さんは能役者のお家に生まれ、小さい頃から、お父様の金井章様、宝生英雄様から指導を受けていらっしゃいます。つまり、ごく小さい頃から、美しいものを毎日の生活の中で自然にご覧になって育ったということ。ご飯を食べたり、歩いたり、普通に遊んだりされる中にも、美しいモデルがあったということは、素晴らしいことです。日本の伝統芸能のお家の強さはそこにあると思います。同時に、おそろしいことでもあるかもしれません。単に「恵まれた」と片付けることのできないものです。
仲間内では、年齢600歳と冗談が言われるほど。それは、単によくいろいろなことをご存知、ということではなく、600年の伝統がご自身の身体の中に息づいていらっしゃるから。
その重さを引き受け、受け継ぎ、次に伝えていく、ということのすごさはなまなかのものではありません。
NHKの「古典芸能への招待」で放映された「隅田川」やこの前このFBでもご紹介した「融」での息を呑むほどの美しさ、はかなさ、妖しさはとてもこの世のものとは思えません。いえ、お能は現世とどこか違う異世界との架け橋なのかもしれないのですが。
世阿弥のいう「幽玄」というのはこのようなものか、と思いました。それは、TVという媒体を通してもはっきりとわかる、いえ、アップという手法を使った映像は生の舞台とはまた違った迫力を伝えてくれました。
ろうそくで上演された「融」の迫力はピーター先生も息を呑むものでした。それは前回お伝えした通りです。
ところが、この先生、舞台ではこのように神々しく美しくこの世の方とは思えないのに、現実の世界では端正な佇まいを別とすれば、きわめて気さくで普通のちょっとお茶目なところもある先生です。「揚げ物は食べないんだ」と仰りながら、お昼はカツ丼が多いとか、エビフライと唐揚げが大好物とか。
是非、舞台の美しさの秘密をお教えていただきたいものです。