先週、ピーター先生のたってのご希望で、能を見に行きました。運のいいことに、ちょうど宝生流シテ方金井雄資さんの「融」が。ろうそくの灯によるもので、数10年に一度の秘曲とのこと。売り切れのチケットを無理をお願いしていただきました。開演中は無論写真は撮れませんので、開演前の舞台が蝋燭の灯で照らされている様子を。
これは世阿弥の名作の一つで、光源氏のモデルの一人ともされる源融のお話。旅の僧が、六条の河原の院の旧跡に佇んでいるところに、汐汲みの老人が現れ、ここがかつて源融の邸宅あとで贅を尽くした美しさであったことを語ります。その後、この汐汲みの老人こそが融の霊であったことを知り、夢の中で再び会いたいと僧が願うと、融が生前の姿で現れ、月の光の中で舞う、という幻想的なお話です。
ピーター先生も私も、能役者の存在感のすごさ、動きの美しさに圧倒されました。特に後場のみどころでもある「早舞」は内側では早いのに、動きはゆったりとあくまでも高貴な舞です。
融の人物造形で様々な演出があるそうですが、今回の宝生流の金井さんのは動きの上でも、音楽的にも凝ったものになっています。世阿弥の「幽玄の美」を表現することで、当代の演者の中でも定評のある金井さん。すっかり魅了された私たちでした。
金井さんに8月の「表現とアレクサンダー」のワークショップで、教えていただくのが、今から楽しみです。
金井さんの講座は8月5日(土)です。
まだ余裕がありますので、よろしかったら、ぜひお出かけください。
http://www.alexander-tokyo.com/blog/info-all/235
ご覧ください。